インハウスロイヤーと法律事務所の2つのキャリア。
相乗効果で切り拓く、弁護士の新しい働き方
「インハウスロイヤーと法律事務所の弁護士、どちらのキャリアを選ぶべきか?」――この問いに明確な答えを出すのは難しいものです。 しかし、もしその両方を同時に経験できるとしたら、どうでしょうか? 今回は、企業にフルタイムで勤務しながら、外部弁護士としてもデータ・プライバシーの専門家として第一線で活躍する世古修平弁護士に、その働き方の魅力と挑戦について伺いました。

副業で法律事務所で弁護士として働くとは?

フルタイムで企業に勤めながら、副業として弁護士業務を行おうと思ったきっかけや動機を教えてください。
世古
氏:

今でこそ色々と後付けの理由はありますが、正直なところ「単純に面白そうだったから」そして「会社員と弁護士、両方の働き方を経験してみたかったから」というのが、最初の動機でした。

漠然とではありますが、キャリアの最終的な到達点は会社員ではなく個人事業主だろうという感覚もありました。そこに向けて、早めに経験を積んでおきたいという思いもありましたね。

企業での業務と法律事務所LEACTでの弁護士業務は、それぞれどのような割合で行われていますか?
世古
氏:

平均すると、企業:法律事務所LEACT=7:3くらいの割合だと思います。

副業として弁護士業務を行う上で、最も重視していることは何ですか?
世古
氏:

副業を行うことが、企業側、事務所側の双方にとってメリットがある状態を保つことです。そうでないと、長続きしないと考えています。

時間管理やタスク管理で工夫されている点があれば教えてください。
世古
氏:

当日中に返すべき仕事」と「翌日以降に返すべき仕事」を明確に切り分けること、そしてどちらに対しても「簡単に即レスすること」を心がけています。「ご相談ありがとうございます、検討します」といった一言でも良いので、まずはすぐに返信します。

インハウスロイヤーとしての経験を強みとしてサービスを提供する以上、クライアントに「中の人」のように感じてもらうことが重要だと考えています。そのためには、やはりレスポンスの速さが非常に大切になりますね。

副業として弁護士業務を行うことのメリットとデメリットはどんな点だと感じていますか?
世古
氏:

メリットは大きく2つあります。

  1. 経験できる仕事の種類が増え、より客観性を持った判断ができるようになることです。企業での視点と弁護士としての視点、両方を持つことで、物事を多角的に捉えられるようになります。
  2. 自分が得たいもの(成長機会、自己効力感、気の合う同僚、お金、時間的余裕など)を複数箇所に分散して獲得できること。片方の場所で全ての要素を得られなくても納得できるのは、精神的にも大きいですね。

デメリットとしては、利益相反や取扱情報の切り分けに気を使う点です。この点への配慮が苦手な方にとっては、少し大変かもしれません。

今後、弁護士としてどのようなキャリアを築いていきたいですか?そのキャリアに、LEACTはどう役立ちますか?
世古
氏:

安定的な本業の収入があるおかげで、副業では「本当にやりたい仕事を選べる」という点に一番魅力を感じています。

自分ができることやしたいことをより明確にして発信し、それに共感して必要としてくれる方に、より深く貢献していきたいです。

LEACTには、私と同じように副業で働いていて、かつ私とは異なる「やりたい仕事」を持っている弁護士がたくさんいます。お互いに仕事をパスし合いながら、それぞれがやりたい仕事に安心して取り組める関係性を築いていきたいです。

副業弁護士を目指す方へ:LEACTが提供する価値

企業勤務と弁護士業務の両立を目指す方に、LEACTで働くことの魅力や現実についてメッセージをお願いします。
世古
氏:

「企業と法律事務所どちらが良いか」という議論が頻繁にされますが、私はこの議論は意味がないと思っています。なぜなら、“あなたにとって”という視点が欠けているからです。

どちらが良いかは、実際にやってみなければ分からないですし、「両方同時にやるのが一番良い」という結論だってあり得るはずです。

自分のやりたいことを見定める近道は、「自分と似ているけれど少し違う人」との比較を重ねることだと考えています。LEACTには、「両方同時にやるのが良い」と思って仕事を続けている弁護士が10人以上います。LEACTで私たちと一緒に仕事をすることは、きっと皆さんのキャリアの参考になるはずです。

副業でLEACTに参画する上で、どのような資質やスキルが求められると思いますか?
世古
氏:

LEACTは様々な人を受け入れられる事務所だと思いますが、特に魅力的だと感じるのは、以下のような方々です。

  • Kさん:クライアントから本音を引き出すのが上手な人
  • Mさん:ラストマンシップ(最後までやり遂げる責任感)がある人
  • Iさん:価値の発揮の仕方を柔軟に変えられる人
副業を検討している方へ、時間管理やモチベーション維持に関するアドバイスがあればお願いします。
世古
氏:

自分が何に興味を持って、心が動かされるのかを探していくことが大切だと思います。本業があるのであれば、副業でやる仕事はある程度選ぶことができます。自分がモチベートされる領域を探し、そこにリソースを投入していくのが幸せへの近道だと考えています。

LEACTでは、副業弁護士がどのように成長機会を得られると考えていますか?
世古
氏:

LEACTは「実践の場」が多いことが強みです。

副業で働いている場合、弁護士に仕事を依頼する立場(本業)と、弁護士に仕事を依頼される立場(副業)を同時に経験できます。一方の立場では良かれと思っていることが、実は相手に全く響いていなかったり、本当に求めているところに手が届いていなかったり、ということが起こりがちです。

例えば、クライアントは外部弁護士からコメントをもらった後、事業部門に対して説明をしなければいけません。その点について外部弁護士の考えが及んでいないと、抽象的な返事で終わってしまいます。しかし、クライアントのその後の行動にまで考えが及んでいれば、「このように事業部に伝えると良い」「事業部からこのような情報を引き出せると良い」など、その後の展開を見据えたアドバイスができます。

このような副業ならではの学びを、LEACTでは実践する場が豊富にあります。

最後に、ご自身の経験を踏まえ、将来の副業弁護士の働き方について展望があればお聞かせください。
世古
氏:

今後、副業弁護士の数自体が増えてくると思います。それに伴い、「どのような価値を提供できるのか」がよりシビアに見られるようになってくると思います。だからこそ、切磋琢磨できる環境に身を置くのが大事だと考えています。